獅子舞（ししまい）は、日本の伝統芸能のひとつで、獅子の姿を模した獅子頭（ししがしら）をかぶり、舞を踊る儀式や祝祭の演目のことを指します。獅子は古来より神聖な存在とされており、獅子舞には悪霊を払い、疫病や災厄から人々を守るという意味が込められています。特に新年や祭りの際に演じられることが多く、商売繁盛や五穀豊穣、家庭円満を祈願するために神社や街中で披露されます。
獅子舞には、一人で獅子頭をかぶって踊る「一人立ち獅子舞」と、二人または三人が協力して演じる「組み獅子」があり、地域によってその形態はさまざまです。関東地方では神楽と結びついたものが多く、関西地方では京都の祇園祭などに見られるように豪華な装飾を施したものもあります。また、獅子舞が子どもの頭を噛むことで、その子が健康に育つとされる風習もあり、多くの場面で親しまれています。
獅子舞の起源と伝来
獅子舞の起源はインドにあるとされており、もともとは遊牧民の間で、ライオンには神秘的な力が宿っていると考えられ、宗教儀式としてライオンを模した舞が踊られていました。この風習がシルクロードを経て中国に伝わり、さらに朝鮮半島を経由して日本へと伝来したと考えられています。
日本に獅子舞が伝わったのは飛鳥時代だとされており、当初は宮廷の舞楽の一つとして演じられていました。その後、室町時代から江戸時代の初期にかけて、伊勢太神楽（いせだいかぐら）という芸能集団が全国を巡業し、各地で獅子舞の公演を行ったことで広く普及しました。これにより、日本各地で地域の風習や文化に合わせた独自の獅子舞が発展していきました。
現代では、伝統的な獅子舞に加え、イベントや観光地でのパフォーマンスとして披露されることも増えています。さらに、ロボット技術と組み合わせた獅子舞や、アニメ・ゲームのキャラクターとしての登場など、新たな形で文化が継承されつつあります。獅子舞は、日本の伝統と地域文化を象徴する貴重な芸能であり、今日でも多くの人々に愛され続けています。